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令和元(2019)年を振り返る(藤本)

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弁護士法人創知法律事務所の藤本です。

令和元(2019)年終わろうとしています。

この1年も、今年も激動でした。

何よりもびっくりし、悲しんだのは、30歳にして亡くなってしまった何陽のことです。
すいません、創知Webサイトの弁護士等紹介欄から、消さなければならないと自覚していますが、もう少しそのまま置かせて下さい。ビジネスの宣伝的にはマイナスかもしれませんが、どうしてもまだ消せません。実は、11月のある日に葬式が長沙市の某所で営まれまして、弾丸で最後にお顔を見てきたのですが、あの1日、本当に体液の全てを流したかのように泣きました。ただ、遺影に選ばれていたのが、何陽が早稲田大学を卒業した際に、サクラと卒業証書と共に撮影されていた笑顔でした。少なくともご両親やご主人が、日本留学のこと、日本のことを嫌った訳ではなかった(今回の件は日本のことは何も関係ないのですが、相当因果関係を無視した因果関係であれこれ考えると、日本への留学や、私との勤務がなければ、人生が変わり、今回の件がなかったかもしれないとあれこれ考えてしまっていた私にとっては)幸いでした。

創知の規模・陣容は、来年1月、修習72期の元島望美弁護士の参画(弁護士としては既に登録されていますので、Webサイトにおける表示も既にしています。札幌オフィスです。)により再び11名となります(なお、特にWebサイトの「ニュース」欄に記載しませんでしたが、修習71期(19年1月入所)の大阪オフィス採用の新人弁護士2名のうち1名は、夏に他弁護士会に転出・退所となりました。忘年会にも来て貰っており、良好な関係は維持していると信じていますが、彼の将来を考えると、短期退所のヒストリーを明示しない方が良いかもしれないと考えてニュースにしませんでした。)。事務所設立3年目、まだ組織として安定しているとは到底言えず、色々と変動はすると思います。今後も、他のメンバーとの相談になりますが、私個人としては、(i)毎年新人弁護士を法人として採用しつつ、(ii)良い方がいれば中途にも加わってもらいながら、事務所規模を拡大していく所存ですが、クライアントからの要望に鑑みると、質的なものを無視した拡大はあり得ないと思います。「世界中のあらゆる人々の法的ニーズに合理的価格で応える」という大目標は、常に維持しながら、その達成のために必要な規模・水準を維持・拡大(向上)させていきたいと思います。

創知のお客様からは、引き続き良い反応を貰っていると確信しています。特に昨年は、内部通報制度の外部通報制度窓口としての当法人の活用を若干ですが宣伝させて頂いたところ、上場会社を含め、既に50社近くの法人・組織(一部は2020年開始を前提とする契約のみ。)から、当法人を内部通報制度の外部通報制度窓口と指定して頂きました。なお、当法人では、これらの内部通報制度の外部通報制度窓口としての経験と、当該法人の従業員との潜在的利益相反を考慮した上で、(i)上場会社の場合は、顧問契約(及び当法人弁護士の取締役監査役等への就任)のない法人様、(ii)非上場会社の場合は、一定の条件を満たす法人様(顧問契約がある場合を排除しない。)に限って、内部通報制度の外部通報制度窓口となることとしております。これは、当法人が、規模こそは小さいものの、東京・大阪・札幌にオフィスを構え、企業法務の経験を基礎としながら、一般民事的な事件も海外業務もこなしていることから、「あらゆる人々の法的ニーズ」に応えられる結果として、「どんな通報があっても、まず聞き取って貰える」という信用を得ていることの証左ではないかと自負しております。顧問契約の件数も、法人として三桁を突破しており、引き続き増加傾向です。

ただ、創知のお客様からは、「宣伝(営業)が下手だ」と良く言われます。今年は、特によく言われました。あまりに下手で心配だから、という理由で、お客様を紹介して頂いたことが今年複数回ありました。大変ありがたいことでしたが。
まあ、確かに、私は、なんだかんだ言って、経営者というよりは、職人肌ではないかと思うのですよね。高校時代、生徒会長をしたのですが、会長としての人徳やカリスマを有しないことについて、思い悩んでしまいました。リーダーとしての適性がないのではないかと感じました。当時実は政治家に一番なりたかったのですが、「一人でもやっていける職業」として弁護士を選んだように思います。その私が、共同で経営するとはいえ、代表社員として創知のリーダーをやらねばならない、創知の宣伝と営業を担わなければいけないことは、ちょっと辛い面があります。ただ、この人徳・カリスマ問題では、大学時代の恩師である佐藤幸治先生にズバリ言われた一言がいまも響いています。「自分で人徳がないなんて決めるとは、おこがましい」です。無知の知は必要でしょうが、人徳というのは、後からついてくるものだと思います。職人肌ですし、宣伝・営業が下手ではありますが、それでも、最大の宣伝・営業は、お客様に良い仕事をしっかり提供することと、後輩に良い教育を行うことだと信じて、後日振り返ったら良い経営者だったと言われるようになりたいなあと思う1年でした。

教育面では、今年も同志社大学・京都大学・神戸大学の法科大学院の授業を担当しました。残念ながら、法科大学院制度の変更等もあり、私の「コーポレートガバナンス」の授業(同志社大学)は、今年で終了となるようです。しかし、来年も、新しい講座も含めて、これら3大学で授業を担当することになると思います。同志社大学と京都大学では客員教授という称号も頂戴しています。自分の将来のライバルを育てているということは、もしかしたら営業的にはマイナスなのかもしれませんが、日本の法曹全体が高いレベルで成長すれば、創知に限らず、日本の弁護士全体として「世界中のあらゆる人々の法的ニーズに合理的価格で応える」ことになると思います。でも、もっと教え子にも、大事務所ばかりではなくて、創知で一緒にやりたいと言って貰えるようになりたいですね!苦笑(本当に優秀な子ばかりですので、創知より規模等で素敵なところの内定が簡単に取れますから、なかなか声をかけづらいのです・・・)

私の人生目標として、事務所とはもう1つ別に、広島出身の人間として、核兵器の廃絶に尽くすというものがあります。核兵器の廃絶そのものとは少し違うかもしれませんが、それを含む、世界が平和になるための不断の努力を普段からしていきたいという思いがあります。今年の世界は、また一歩右傾化した気がしました。特に心配なのが香港です。教え子であり昔の部下が香港中文大学に留学していることもあります。香港以外でも、台湾の総統選、韓国の総選挙が来年に控えており、我が国の周囲の状況次第では、東アジアが一層厳しい状況になるのではないかという心配があります。外国の動向は、内政干渉になってはならないという思いもあり、いち日本人としてどう発言し、行動すべきか、悩むところもあります。ただ、様々な悩みを抱えながらも、世界と日本の平和を達成するため、引き続き(小さな)発言・行動は続けていきたいと思います。

 いち国民として、弁護士として、法律事務所の経営者として、また法科大学院における教育者として、ちょっと自分に甘いのではありますが、まあこの1年、よく頑張った気がしています。甘いですが、自分で自分にまあ頑張ったと褒めてあげたいです。きっと来年も頑張ると思うので、皆様にも、どこかで応援して貰えたら嬉しいです。