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外国投資法成立!

tag: 中国法

弁護士の藤本一郎です。
中華人民共和国の全国人民代表大会は、2019年3月15日、「外国投資法」を可決しました。

条文(中文)は、このサイトからご覧になれます。

この草案については、私も、「『外国投資法』草案について」JCAジャーナル第62巻3号(2015年3月号)90頁で執筆をしておりますが、それから紆余曲折もあり内容も変わりました。

これにより、長く存在した、「中外合資経営企業法」「中外合作経営企業法」及び「外資企業法」(以下「外資三法」といいます。)は、2020年1月1日の施行日に廃止されることになります。現在存在する外国資本の企業(有限会社形式の企業)の殆どは、上記3法のいずれかに基づいて成立しています。外資三法が廃止される結果として、外国資本の有限会社形式の企業は、定款や合弁契約等を修正し、ガバナンスを変更しなければならなくなります。外国投資法42条は、このような外国資本の企業に、5年間の猶予を認めていますが、遅くとも5年以内には変更しなければならないので、殆どの日本から出資した中国法人は、対応を迫られることになります。

特に影響が大きいのは、「中外合資経営企業法」という法律に基づいて成立している有限会社です。この法律が廃止されることにより、例えば、今まで存在しなかった株主総会(社員総会)を設置しなければならなくなる他、決議要件も変わります(現在であれば、一定の事項について、董事会の全会一致が必要ですが、株主総会の2/3の賛成で良くなります)。もっとも、定款や合弁契約で、法律に違反しない範囲で任意の規定を設けることも可能ですので、合弁会社の運営を円滑にするため、一工夫が必要となる可能性があります。

外国投資法の成立、外資三法の廃止に伴う具体的な対応をお望みの方は、いつでも当法人にご相談下さい。