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当事務所の受任事件の1つの特徴と依頼者へのメッセージ(藤本)

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弁護士の藤本です。

私自身、主として「渉外(国際)」「会社」「知財」等をキーワードとしながら、様々な案件に取り組んでおりますが、その中でこの2年強の事件の特徴として1つ面白いものがあるな、と感じる点があったので、ちょっと書いておこうと思います。

それは、「何故か相手方代理人弁護士が、大手法律事務所所属となる」という点です。

依頼者を代理してある会社に対し不正競争等の主張をした時は、ある東京の大手法律事務所に属する弁護士が相手方代理人でしたし、ある株式の問題についてある会社を代理して株主と交渉をした時は、ある別の大手法律事務所に属する弁護士が相手方代理人でした。ある特許に関する仮処分事件で相手方が取り下げた事件も、また別の大手法律事務所に属する弁護士が相手方代理人でした。

弁護士は全国に4万1000人います。法律事務訴の数については正確には知りませんが、「大手」とされる法律事務所は、例えば東京の「四大」ないし「五大」法律事務所であったり、大阪にも、東京には規模で及びませんが「四大」法律事務所と呼ばれる事務所が存在します(私が昔いた事務所もその1つとして数えられていました。)。つまり、数でいえば、これら東京と大阪の大手事務所を足しても多くはないのです。

どうしてそうなるのか、考えてみると、もしかしたら、相手方本人(相手方弁護士のクライアント)にとって、「大手」法律事務所に依頼したくなるような事件を沢山扱っている、ということなのかもしれません。

どういう時に、相手方が「大手」法律事務所に依頼したくなるでしょうか?

例えば、仮に、「大手」法律事務所の方が、中小法律事務所よりも弁護士報酬がより高額であるということであれば、それだけ報酬が上がったとしても頼みたくなるような複雑な案件、高度な案件、専門的な案件である、と考えることができるかもしれません。

また、相手方が法人の場合、内部的な稟議の関係で、「大手」法律事務所に頼んだと記載することにより、内部的な責任追及がされない、つまり、「安心」な事務所に依頼している、ということかもしれません。

こうやって考えると、実は、我々の事務所が担当している案件そのものが、「創知」(Creativity & Insight)の名にふさわしい、「複雑」「高度」「専門的」な案件である、ということになるのかもしれません。

しかし、残念ながら、我々は「大手」法律事務所ではありません。もしかしたら、我々に依頼するという稟議を書いて頂くのは、依頼者内部的には、「安心」とならない、お手間をお掛けしているかもしれません。

そういえば、ある訴訟を提起しようとする時に、ある依頼者から、「ハクを付けるために、もう1事務所、●●事務所(大手です)を代理人メンバーに加えませんか?」と言われたことがありました。私が前にいた事務所と比較すると、現時点での我々の事務所規模が小さいので、そういうことを言われてしまうのだと思いますが、ちょっと悔しい気持ちもあるのではありますが、依頼者が我々では「安心」しきれないと感じてしまう面がある点そのものは、理解できないではありません。

でも、思うのです。実際これだけ「大手」法律事務所が相手方となる中で、「複雑」「高度」「専門的」な案件の中で、良い戦いを続けています。そういう戦いを続けている事務所ですので、まあ、なかなかそうは言っても難しいかもしれませんが、どうか我々の依頼者にも、そういう「創知」に依頼していることで「安心」して貰えたら良いなと思うのです。

すごく正直にいえば、弁護士の能力は、実は所属事務所の規模では決まりません。「大手」だから実際により「複雑」「高度」「専門的」な案件に対応できて「安心」となるとは限りません。規模で決まるなら、いつも「大手」が勝利します。弁護士業務の質は、実際に担当する弁護士の質と、その弁護士の気持ち(やる気)にかかっていると思います。ただ、一般的に、多少法律に詳しい方も含めて、「大手」が醸し出す「安心」感的なものもってあると思うのです。

そんな中で、このような記載をしたのは、「創知」は、そういった「大手」では現在ありませんが、高い志をもって頑張る法律事務所として、そのような「大手」と、厳しいけれども良い戦いができている、そういう実績で、多少なり「安心」して貰えたら良いな、と思ったからです。まあ、事件が円満に終了するまでは、「安心」できるかい、という声が戻ってくるかもしれませんが・・・・それでも、依頼者や依頼しようとしている方の「安心」材料の1つになれば良いなと思って書きました。