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弁護士ストーリーズ第6回:横尾大貴弁護士

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【弁護士ストーリーズ】

第6回:横尾大貴弁護士:コロナ禍での挫折から弁護士へ。持ち前の「人たらし」力で切り拓く国際業務

 

創知法律事務所の個性豊かな弁護士たちの素顔に迫るインタビュー企画「弁護士ストーリーズ」

第6回は、横尾大貴弁護士

当初は、藤本一郎弁護士も、インタビューを中国語でやろうかと思った程度には、横尾弁護士も中国語を使うことができます。新人弁護士の思いに迫ります。

 

 

横尾大貴弁護士 藤本一郎弁護士

消えた「中国留学と外交官」の夢

藤本: 弁護士ストーリーズの第6回です。今回は、今年の4月に弁護士になり、創知法律事務所に入所して5ヶ月ほどのフレッシュな新人、横尾大貴(よこお たいき)先生にお話を伺います。よろしくお願いします。

横尾: よろしくお願いします。

藤本: 早速ですが、横尾先生はどうして弁護士を目指したんですか?

横尾: 実は大学で法学部に入った当初は、弁護士になるつもりは全くなくて、海外に興味があったことから「外交官」になろうと考えていたんです。

藤本: ほう、外交官ですか。

横尾: はい。外交官になるにあたって、大学時代にどうしても「中国への留学」をしておきたかったんです。当時、中国にはものすごい勢いを感じていましたし、中国に留学してから外交官になるという未来を描いていました。2020年の秋から、半年間は復旦大学で語学留学をして、もう半年は北京大学で専門的な法学部の授業を受けるという交換留学の予定が決まっていたんです。

藤本: 復旦大学と北京大学! 京大の法学部生でそこまで本格的な留学に行く人は珍しいですね。(留年する人はたくさん見てきましたが……笑)

横尾: そうなんです。でも、2020年の2月頃から新型コロナウイルスが蔓延してしまって……。進めていた留学の準備がすべてキャンセルになってしまいました。

藤本: なるほど。じゃあ、コロナがなかったら弁護士にはなっていなかった?

横尾: おそらくそうですね。留学が白紙になり、日本にいながら海外で活躍できるような「何か専門性」を身につけなければと思い、たどり着いたのが弁護士という職業でした。

異分野交流と「専門性」への渇望

藤本: 公務員や一般企業ではなく、「弁護士」という専門職に一歩踏み出したのには、何かきっかけがあったんですか?

横尾: コロナ禍の時に、当時住んでいたアパートの隣人の方と仲良くなったのが大きなきっかけでした。その方は、京大のアジア・アフリカ地域研究研究科の修士課程に在籍していて。コロナ禍でしたが、その方や他の修士・博士課程の方々とよくホームパーティーをしていたんです。

藤本: いいですね。

横尾: その会話の中で、「一体あなたの専門って何なの?」と聞かれたり、「これって法律的にどうなの?」と質問されたりしたんです。彼らはアジア・アフリカ研究という分野で圧倒的な専門性を持っていたので、憧れを抱くと同時に、「自分も海外で通用するような専門性を持ちたい」と強く思うようになりました。

藤本: それはよく分かります。私たち弁護士も、海外の先生と接すると「What is your specialist field?(あなたの専門分野は何ですか?)」と必ず聞かれますからね。「弁護士である」というだけでは専門とはみなされない。

横尾: もう一つ、大学時代に「医学部陸上部」に参加していたことも影響しています。将来医師になる方々と接する中で、彼らの持つ専門性を目の当たりにし、自分の中にも確固たる専門性が欲しいと渇望していた時期でした。

藤本: ちなみに、全学の陸上部ではなく、なぜ医学部陸上部に?

横尾: 中高時代は陸上の短距離をガッツリやっていて近畿大会にも出たんですが、1年間の浪人生活ですごく体力が落ちてしまって。体育会系の厳しい部活に入る自信はなかったけれど、短距離は続けたい。街中を猛スピードで走るわけにはいかないので、フィールドを使える環境を求めて友人のツテをたどり、医学部陸上部に行き着きました。

 

中国のリアルと「怒られたポカリ」

藤本: 外交官の夢は断念したものの、中国語の勉強はずっと続けていたんですよね? そもそも、なぜそこまで中国に興味を持ったんですか?

横尾: 中学3年生(2015年)の時、初めての家族での海外旅行が北京だったんです。当時、中学校で勉強してある程度自信があった英語で現地の人に話しかけてみたんですが……全く通じなくて。自分が世界で通用すると思っていた英語が通じない衝撃と同時に、紫禁城から天安門広場を見た時、自分と同じような顔をした人が無数にいる光景に圧倒されました。「どうやったらこの人たちとコミュニケーションが取れるんだろう?」と思ったのが一番の原点です。

藤本: 大学での中国語の勉強はどのように? 第二外国語の授業だけでは、なかなかモノにならないですよね。

横尾: おっしゃる通り、第二外国語の授業だけでは上達しなかったので、3年生の時に、中国語を専門的にやっている文学部の先生に直談判したんです。「単位にはなりませんが、授業に参加させてください」とお願いして、オブザーバーとして参加させてもらいました。

藤本: 単位にならないのにわざわざ授業を受けに行く京大生……それは京大生ではない可能性がありますね!(笑)。

横尾: 少人数だったので、主体的に中国語を喋る機会が増えましたし、それがきっかけでスピーチコンテストにも出場しました。さらにその先生にお願いして、中国人留学生を紹介してもらい、留学生のコミュニティにどんどん入り込んでいきました。

藤本: 実際に中国人の友人たちと深く接してみて、何か発見はありましたか?

横尾: 思っていたのと違うな、と感じることは多かったです。例えば、中国人の友達が風邪を引いた時、看病しようと思って冷たい水とポカリスエットを買って行ったんです。そしたら、ものすごく怒られまして(笑)。

藤本: ああー、日本人は絶対ポカリかアクエリアスを持っていくけどね。

横尾: 「俺は体調を崩しているのに、なんで温かいお湯じゃないんだ! もっと体調を悪くする気か!」って(笑)。そういう小さな違いが、日本と中国は似ているようで違うんだと実感させてくれて、知的好奇心がすごくくすぐられました。

藤本: 面白いですね。香港だとポカリをよく飲むんですが、大陸だとそうじゃない。同じような顔をしていても、地域によって文化が全然違うんですよね。

あえて「小さな池の大きな魚」になる

藤本: 最終的に弁護士の道を選び、事務所選びをする中で、うちの事務所(創知法律事務所)を選んだ決め手は何だったんですか? 横尾先生の経歴や能力なら、色々な選択肢があったと思いますが。

横尾: 中国語を活かせる環境であることは大前提でした。その上で、藤本先生が中国での経験も、アメリカでの経験もお持ちだったことが大きかったです。

藤本: でも、中国案件を扱う事務所は他にもたくさんありますよね。

横尾: これは僕の性格というか、原体験に関わるところなんですが……。小学校の時、超難関の「灘中学」を受験しようとして、周りの優秀な人たちを見て「これはついていけない」と思い、最終的に自分の出身校である「白陵中学」に入学したんです。

藤本: ほう。

横尾: 白陵では成績もトップクラスで、何かに追われるというより、自分で主体的に色々なことができました。つまり、鶏口牛後です。大きすぎる組織の歯車になるよりも、多少小さな集団の中で先頭を切って走っていきたい、という思いがありました。そのスタンスが、創知法律事務所の環境とすごくマッチしたんだと思います。

藤本:なるほど、よく分かります。自分で主体的に動ける環境を求めていたということですね。

「人たらし」力を武器に

藤本: 私が横尾先生を見ていて一番驚いたのは、その「人たらし」なところです。

横尾: 人たらし、ですか?

藤本: ええ。以前、中国人の弁護士の方々が大阪弁護士会に大勢来られて交流会を行った時に、私は、横尾先生を連れていきました。交流会の公式イベントが終わった後、私(大阪弁護士会国際員会前委員長)や西原先生(国際委員会現委員長)たちのようなシニア層の周りには誰も来ないのに(笑)、横尾先生の周りにはたくさんの中国人弁護士が集まって、WeChatの交換をして盛り上がっていましたよね。自分から相手と交流したい、接したいという前向きな気持ちが、自然と相手に伝わっているんだなと感心しました。

横尾: ありがとうございます。

藤本: あれは一朝一夕に身につくものではなく、横尾先生が学生時代から留学生コミュニティに飛び込んで培ってきた好奇心や人付き合いの賜物だと思います。ぜひその「人たらし力」を大事にして、弁護士生活を送ってほしいですね。最後に、今後の抱負をお願いします。

横尾: 一番の課題はやはり「専門性」の確立です。特に海外のクライアントは専門性を非常に重視されるので、そこをしっかり磨いていきたいです。それと同時に、先生が仰ってくださった「人たらし」の部分も継続して、ネットワークを広げていきたいと思っています。

藤本: 素晴らしいです。ただ、(前回のインタビューで池上先生に言ったことと一見矛盾するような話になりますが)1年目は専門性も大事にしつつ、まずは幅広く色々な案件を経験することも重要ですので、両立して頑張っていきましょう。昔私がやっていた「留学生を集めた勉強会」なども、横尾先生の力でぜひ再開できたらと思っています。

窪田: (横からひょっこり)いやー、優秀な後輩が入ってきてくれて喜ばしいですね。僕らみたいな「留年の専門家」のインタビューを最初の方にやってハードルを下げておいて、横尾先生みたいな「留学の専門家」でだんだんレベルを上げていくという構成、完璧だと思いますよ!

藤本: 「ら」ですか(注 藤本弁護士も、京都大学法学部を卒業するのに5年を要しています。)。・・・窪田先生を最初にしたのは意図的だけどね。皆さんの色々なストーリーや人間性を知ってもらうことで、クライアントや同業の先生方にも親しみを持っていただけたらと思っています。横尾先生、本日は楽しいお話をありがとうございました! これからの活躍に期待しています。

横尾: ありがとうございました!